【概念思考|誠実】

「誠実な人」と聞いて、どのような人を思い浮かべるでしょうか。

まじめな人。

嘘をつかない人。

約束を守る人。

丁寧に仕事をする人。

どれも間違いではありません。

では、「誠実」とは何なのでしょうか。

「誠」という字は、「言」と「成」から成り立っています。

「言」は、言葉や発言。

「成」は、成し遂げる、完成させる。

つまり、

「言ったことを成し遂げる」

「心で思っていることと、口にする言葉が一致する」

そこから、嘘や偽りのない「真心」という意味につながっていきます。

一方の「実」は、中身がしっかりと詰まっている状態を表します。

外から立派に見えるだけではなく、中身が伴っている。

言葉だけではなく、行動が伴っている。

そう考えると、「誠実」という言葉には、とても深い意味があるように思います。

私は「誠実」を概念化すると、

「真心」

「丁寧」

「誤魔化しのない」

この3つに集約できるのではないかと考えています。

仕事における誠実さは、人が見ているところだけに表れるものではありません。

むしろ、その人の本当の姿が現れるのは、

「誰も見ていないところ」

ではないでしょうか。

見えるところだけを丁寧に仕上げる。

上司や顧客が確認するところだけ一生懸命に取り組む。

それでは、誠実とは言えません。

誰にも気づかれないような仕事でも手を抜かない。

見えなくなってしまう部分にも丁寧に向き合う。

評価されるかどうかに関係なく、自分のできる最善を尽くす。

その積み重ねが、その人の「人柄」になっていくのだと思います。

そして不思議なことに、そのような仕事は、どこかで誰かが見ています。

時間が経ってから評価されることもあります。

目利きのできる人が見れば、細部に込められた思いに気づくこともあります。

本当に丁寧につくられたものは、年月にも、人の厳しい目にも耐えることができます。

これは、人間関係も同じです。

約束を守る。

時間を守る。

言ったことを実行する。

もし約束を守ることが難しくなったのであれば、できないまま放置するのではなく、事前に連絡する。

わずかな行動ですが、こうした一つひとつが信用をつくります。

逆に、一度でも誤魔化したり、連絡もなく約束を破ったりすれば、その後どれほど一生懸命に仕事をしても、

「本当に大丈夫だろうか」

という疑いが残ってしまうことがあります。

信用を築くには長い時間が必要ですが、失うのは一瞬です。

だからこそ、誠実さとは、その場その場の振る舞いではなく、「日々の小さな行動の積み重ね」なのだと思います。

仕事を一緒にするのであれば、能力の高い人と仕事をしたい。

しかし、それ以上に、

「この人なら誤魔化さない」

「見えないところでも手を抜かない」

「約束したことには最後まで向き合ってくれる」

そう思える人と仕事をしたいものです。

そこには、余計な疑いや駆け引きがありません。

安心して任せられる。

安心して相談できる。

そして、お互いに仕事を楽しむことができる。

それが「信用」なのではないでしょうか。

誠実は、一朝一夕で身につくものではありません。

今日の一つの約束。

今日の一つの仕事。

誰も見ていないところでの一つの行動。

その小さな積み重ねが、やがてお金では買うことのできない、大きな財産になるのだと思います。