【労災ゼロを継続する力】年間3件の労災をゼロに抑え続けた、全社一体となった「安全唱和」と「リスク予知(KY)」の具体例

製造現場において労災(労働災害)をゼロにし、それを長期間にわたって継続することは最も難易度の高い経営課題の一つです。「気をつけて作業しよう」という精神論や、マニュアルを整備するだけの安全対策では、作業の慣れや疲労、心理的な油断から発生するヒューマンエラーを防ぐことはできません。労災を劇的に削減・ゼロ化するためには、全社員が毎日のルーティンとして安全意識を自動的にONにする「全社一体の行動文化」を構築する必要があります。

かつて年間数件の労災が発生していた現場を無災害へと変革した核心は、朝礼での「指差し呼称(安全唱和)」と、作業直前に実施する「セルフKY(危険予知)」の徹底的なルーティン化です。

朝礼時の安全唱和では、単に声を出すだけでなく、全員で対象を指差し、目・耳・手足を同時に動かす動作を取り入れます。五感を刺激する指差し呼称は、作業者の意識を強制的に「今、目の前の安全」へと集中させ、脳の覚醒状態を高める生理的効果をもたらします。これを全社一体で毎日繰り返すことで、安全第一という企業文化が組織のDNAとして刷り込まれていきます。

さらに重要なのが、現場で作業に入る直前に行う「セルフKY」です。グループでのKY活動にとどまらず、個々の作業者が作業を開始する数秒前に、「これから行う作業にどんな危険が潜んでいるか」「その危険を回避するために何をするか」を心の中や小声で確認する動作を習慣化します。この作業直前のワンクッションが、無意識の慣れや突発的な焦りによる不安全行動を未然に遮断する強力なフィルターとなります。

安全対策を「指示されてやる義務」から「無意識に出る習慣」へと高めることこそが、労災ゼロを継続させる唯一の道です。自社の現場において、安全を日常の行動パターンとして組み込む仕組みが機能しているかを見直し、全社一体となった安全文化の形成に取り組んでみてはいかがでしょうか。