【概念思考|意志】

「意志」とは、物事を成し遂げようとする積極的な心の状態や、何かをしようとするときの根本となる心持ちを意味します。

「意」という字は、「音」と「心」から成り立っています。心の中にある思いや考えを表し、そこから「こころ」「考え」「おもむき」といった意味を持つようになりました。

一方の「志」には、心が一定の方向へ向かう、目標に向かって思いを定めるという意味があります。

つまり「意志」とは、単に「こうしたい」と思うことではなく、自分の心を一つの方向に定め、そこへ向かって進もうとする力だと捉えることができます。

私は「意志」を概念化すると、

「使命」
「大義」
「利他と感謝」

の三つで捉えています。

何かを成し遂げようと思えば、そこには必ず意志が必要です。

小さなことであれば、多少気持ちが揺らいでも成し遂げることはできます。

しかし、大きなことを成し遂げようとすれば、それに応じて強い意志が必要になります。

目的を定めれば、目標も必要です。
計画も必要です。
方法も必要です。

しかし、その前に、

「何としてでも、この目的に到達する」

という意志がなければ、どれほど立派な計画をつくっても、途中で止まってしまいます。

そして私は、この意志を最も強くするものが「使命」だと思っています。

自分は何のために、これをするのか。

自分の利益だけのためなのか。
それとも、誰かのため、社会のためなのか。

自分だけのためであれば、苦しくなったときに妥協することができます。

「ここまでやれば十分だろう」
「もう無理をする必要はない」
「別の道でも良いだろう」

自分で決めたことですから、自分でやめることもできます。

しかし、自分よりも大きな「大義」があれば、そう簡単にはやめられません。

自分を待っている人がいる。
自分の力を必要としている人がいる。
社会のために実現しなければならないことがある。

そのような使命感があれば、逆境にあっても前へ進む覚悟が生まれます。

時には、自分の時間や労力を犠牲にしてでも進もうという勇気も生まれる。

私は、強い意志とは、単なる我慢強さではなく、「何のために」という大義によって支えられているものだと思っています。

ただし、強い思いさえあればよいわけではありません。

意志を現実の力にするためには、それを支えるものが必要です。

まず学びによって「知識」を得る。

その知識を実践し、自分自身の経験として「見識」に変える。

さらに、逆境や苦境の中でも正しいと信じることを実行することで、「胆識」へと高めていく。

正しいことを知っているだけでは足りません。

正しいことを判断できるだけでも足りません。

困難な状況の中でも、それを実行できるところまで自分を鍛える。

そこに、意志を貫くための本当の力が生まれるのだと思います。

そして、そのためには身体も大切です。

どれほど高い使命を持ち、強い意志を持っていても、心身が疲弊してしまえば、長く戦い続けることはできません。

意志とは、心だけの問題ではありません。

学び、経験、精神力、そして健康な身体。

それらすべてがそろって、初めて強い意志を継続することができます。

さらに私は、強い意志を持って生きられること自体にも「感謝」が必要だと思っています。

自分が人生をかけてもよいと思える目的に出会えたこと。

誰かのために力を使う機会を与えられたこと。

そして、時には目の前に現れる逆境さえも、自分を鍛える機会として受け止める。

困難を「なぜ自分だけが」と捉えるのではなく、

「この経験から何を学ぶのか」

と考えることができれば、逆境そのものにも意味が生まれてきます。

ここにも「利他と感謝」があります。

他者や社会のためという利他の心が、意志を強くする。

そして、その使命を与えられたことへの感謝が、意志を持続させる。

私は、この二つが強い意志を支える大きな力になると考えています。

一方で、強い意志とは、ただ硬ければよいものでもありません。

硬いものは、ときとして脆い。

どれほど強くても、真正面からすべての力を受け続ければ、いつか折れてしまいます。

目的は変えない。

しかし、そこへ至る道は変えてもよい。

ときには回り道をする。
人の力を借りる。
一度立ち止まる。
状況によって方法を変える。

こうした柔軟性も、意志の強さの一部だと思います。

真っすぐ進むことだけが強さではありません。

風が強ければ、少したわみながら受け流し、それでも根は動かない。

そんな「良い強かさ」を持つことも、大きな目的を成し遂げるためには必要なのではないでしょうか。

「使命」が意志の方向を定める。

「大義」が逆境を乗り越える力を与える。

そして「利他と感謝」が、その意志を長く支えていく。

強い意志とは、単に「絶対にやる」と力むことではありません。

自分が何のために生き、誰のために力を使うのかを明確にし、学びと修練を重ね、ときには柔軟に進みながら、それでも目的だけは見失わないこと。

私は、それが本当の「意志」の強さなのだと思っています。