【概念思考】組織
「組織は、目的を達成するための手段の1つであり、経営では大きな戦略となる」
企業理念やミッションという絶対的な「目的」を現実の社会で果たすために、私たちは組織を組み立て、戦略を動かします。しかし、組織は目的を達成するための「手段」であるにもかかわらず、ひとたび肥大化や硬直化が始まると、自らの保身や内部最適化を目的化してしまう巨大なリスクを孕んでいます。組織が真に機能するか否かは、それを率いるトップの器にすべてが懸かっています。
「組織」という言葉の語源を紐解くと、個々の要素が調和をもって美しく統合されるべき本質が見えてきます。
漢字の起源からみる「組織」
「組」:繋がりを意味する「糸」に、積み重ねる・くみひもを意味する「且(しょ)」の組み合わせ。何本もの細い糸をバラバラにせず、一本の強固な「くみひも」へと編み上げることを意味します。
「織」:同じく「糸」に、整然と並べる・区切りをつけるという意味を持つ「戠(しょく)」の組み合わせ。縦糸と横糸を寸分の狂いもなく整然と交差させ、一枚の美しい布を「織る」ことを指します。
つまり「組織」とは、個性の異なる多様な人間(糸)を、共通の志のもとに力強く編み上げ(組)、それぞれの役割や責任を明確にしながら、社会に貢献する一枚の大きな絵巻へと整然と織り成していく(織)という、極めて動的で調和に満ちた集合体を意味しているのです。
「組織」を捉える私の概念としては、以下の3点です。
戦略
目的
リーダー
【コラム:保身とマネジメントの罠を撃ち抜くーー組織を手段として全うさせる「真のリーダーシップ」】
ビジネスの現場や公的な機関において、組織の末期的な崩壊を招く最大の原因は、「目的と手段の主客転倒」です。
本来、社会への貢献(利他)や理念の具現化のために作られたはずの組織が、いつの間にか「組織の維持」や「自部門のKPI達成」そのものを目的とし、自己最適化を始めるとき、その活動は完全に迷走します。ルールの隙間を狙うような狡猾な立ち回りや、手段の私物化が横行し、結果として組織の外部にはマイナスの残骸だけが残る。この悲惨な硬直化は、任命のプロセスにおける「トップの選択ミス」から引き起こされます。
組織を率いる際、私たちが最も犯しやすい過ちは、「マネジメント能力が高い人」をそのままトップに据えてしまうことです。 数値を管理し、規則を遵守させ、隙間のない実務プロセス( How / バリュー )を構築できる実務家は、小集団のマネジャーやNo.2のポジションでこそ卓越した価値を発揮します。しかし、こうした視野が内側に向きやすい人物を組織の頂点に就けると、組織全体の柔軟性が失われ、他組織との不要な軋轢を生み、最終的には身内を守るための「保身の壁」を築くことになります。
組織を漂流から救い、常に本来の「目的(ミッション・ビジョン)」へと真っ直ぐに向かわせるトップには、技術的な管理能力ではなく、圧倒的な「人間力」が必要です。
私利私欲を完全に排し、誰が見ていずとも規律を貫く「公明正大さ」。自らの非や環境の変化をありのままに受け入れる「謙虚・素直」な人格。そのような高潔なリーダーが中心に座って初めて、組織という布は破綻することなく、時代や環境の激変(可逆性や不振)を乗り越えて、柔軟にその形を変革させていくことができるのです。
組織は目的ではない。関わるすべての人が仕事を通じて魂を磨き、社会に貢献するための神聖な「器」です。その器にどのような命を吹き込むかは、リーダーの生き方そのものにかかっています。


