OEEは「設備の数字」ではなく「経営の数字」である ― 稼働率だけでは見えない、設備が生み出す本当の価値 ―
「この設備の稼働率は何%ですか。」
工場ではよく使われる数字ですが、私は稼働率だけでは設備の本当の実力は分からないと考えています。
設備が長時間動いていても、本来の速度より遅かったり、不良品を作っていたりすれば、その時間すべてが価値を生み出しているわけではありません。
そこで重要になるのが、OEE(設備総合効率)です。
OEEは一般的に、時間稼働率×性能稼働率×良品率で考えます。単に設備が動いていた時間だけでなく、本来の速度で動き、良品を生産できていたかまで含めて評価します。
例えば、時間稼働率90%、性能稼働率90%、良品率95%なら、OEEは約77%です。
「設備は90%動いている」と思っていても、実際に価値を生み出している能力は、それよりかなり低いことがあります。
OEEは隠れた損失を見える化する
工場では、大きな設備故障はすぐに問題になります。しかし、数分程度のチョコ停や速度低下、段取り、微調整、立ち上げ時の不良などは、日常の中に埋もれがちです。
一つひとつは小さなロスでも、それが毎日続けば年間では大きな損失になります。
OEEを見る目的は、単に数字を高くすることではありません。
設備の能力を、どこで失っているのかを見つけること。
ここに大きな意味があります。
設備投資の前に、今ある能力を見る
生産能力が不足すると、「新しい設備を入れよう」という話になりがちです。
しかし、その前に現在の設備を本当に使い切れているかを見る必要があります。
もしOEEが低く、故障、段取り、チョコ停、速度低下などによって能力を失っているのであれば、新しい設備を購入しなくても改善できる可能性があります。
数千万円の設備投資をする前に、今ある設備の中に眠っている能力を引き出せないかを考える。
これは現場改善だけではなく、設備投資やキャッシュフローにも関係する経営判断です。
OEEが高ければよいわけではない
一方で、OEEは高ければ高いほど良いというものでもありません。
需要がないのにOEEを上げるために設備を動かし、必要以上の製品を作れば在庫が増えます。在庫が増えれば材料費や保管費がかかり、キャッシュも滞留します。
売れない製品を効率よく作っても、会社の利益にはつながりません。
大切なのはOEEそのものではなく、必要な製品を、必要な量だけ、必要なタイミングで生産できる能力を持つことです。
OEEは目的ではなく、そのための道具なのです。
OEEを経営成果につなげる
「OEEが3%上がりました。」
そこで終わってしまうと、現場の改善指標にすぎません。
設備停止を減らしたことで、どれだけ生産能力が増えたのか。残業を減らせたのか。外注を内製化できたのか。新しい受注を受けられるようになったのか。
そして、利益やキャッシュにどのような変化が生まれたのか。
ここまでつなげて初めて、OEEは経営の数字になります。
設備は、動いているだけでは利益を生みません。本来の能力を発揮し、必要な製品を良品としてお客様へ届けて、初めて価値を生みます。
だから私は、OEEを単なる「設備の数字」ではなく、
設備という経営資源を、どれだけ価値へ変えられているかを見る数字
だと考えています。



