【概念思考】美点良観

「美点だけを見ることにより、相手は大きな成長を見せる。人は長所を伸ばすことが最大の成長に繋がり、貢献度も大きくなる」

私たちは他者と対峙するとき、つい欠点や至らない部分に目を奪われ、それを無理に修正しようとしてしまいがちです。しかし、欠点を矯正しようとするアプローチは、時にその人が持つ固有の輝きを殺し、長所を伸ばす貴重な機会さえも奪い去ってしまいます。欠点と長所は表裏一体であり、視点を変えて良き見方(良観)を徹底することこそが、人の可能性を最大化し、人間関係を真に調和させる王道です。

「美点良観」という言葉の奥底を紐解くと、対象の真の価値を見出し、それを厳かに称えるための大いなる知性が見えてきます。

漢字の起源からみる「美点良観」

  • 「美」:神聖な供え物である「羊」に、立派に肥えている様子を表す「大」の組み合わせ。単なる表面的な美しさではなく、内実が豊かに満ち満ちており、天に捧げるに相応しい「至高の価値」を意味します。
  • 「観(觀)」:物事の真実を捉える「見」に、コウノトリが目を凝らして周囲を注意深く見渡す様子を表す「雚(かん)」の組み合わせ。表面の現象に惑わされず、本質を心眼をもって「じっくりと見極める」ことを指します。

つまり「美点良観」とは、他者をただ漠然と眺めるのではなく、その人の内奥にある天から授かった至高の価値(美)を、強い意識をもって注意深く見極め(観)、その優れた特性を素直に認め、引き出していくという極めて能動的な「修養」を意味しているのです。

「美点良観」を捉える私の概念としては、以下の3点です。

  • 意識
  • 特性
  • 成長

【コラム:3つの美点から始まる人間交差点ーー特性を活かし、響き合う「和」のプラットフォーム】

ビジネスの組織や地域社会におけるマネジメントにおいて、最も陥ってはならないのは、相手の欠点ばかりを指摘して「説教」という名のハラスメントを行い、受動的な人間ばかりを生み出してしまう我執の罠です。評論家のように上から目線で他者を裁いている限り、組織のエンゲージメント(絆)が生まれることは決してありません。

真のリーダーに求められるのは、出会う人すべての可能性を信じ、その命の輝きに真っ直ぐに耳と目を傾ける「傾聴」と「美点良観」の精神です。

たとえ一見して苦手だと感じる相手であっても、心眼を開いて「良観」を徹底すれば、必ず光る部分が見つかります。頑固さは「ブレない軸」へと反転し、慎重さは「用意周到な責任感」へと姿を変える。人と出会った瞬間に、理屈抜きでその人の「美点を3つ探す」という実践を48時間以内にルーティン化(習慣化)すること。この愚直なプロセスの繰り返しこそが、私たちの人間力を劇的に高める陰徳の修養となります。

その最も身近で、最も尊い実践の対象こそが、自らを支えてくれる家族にほかなりません。

この最も身近な存在の美点をありありと見出す(良観する)姿勢があるからこそ、自らの中心軸はブレることなく、万事への「感謝」が内側から溢れ出てくるのです。

他者を変えようとする傲慢さを捨て、自らの「観方」を変えること。その澄み切った虚心(無我)から、未来を切り拓く偉大な挑戦が始まります。