【ROIC経営】工場の真の稼ぎ高を測る「物差し」を導入せよ!日本の製造業が今すぐROICを高めるべき理由
製造業の現場において、売上高や営業利益率は長年親しまれてきた指標です。しかし、どれほど利益が出ていても、それにどれだけの設備投資や棚卸資産(在庫)を費やしたかという視点が欠けていると、事業の本当の稼ぐ力は見えてきません。そこで不可欠となるのが、投下資本利益率(ROIC)という物差しです。
ROICは、事業のために投じた資本に対して、どれだけの利益を生み出したかを示す指標です。利益を分子、投下資本(有形固定資産+運転資本)を分母として計算します。従来のPL(損益計算書)重視の管理から、BS(貸借対照表)を意識した経営へとシフトすることで、資金効率を劇的に改善することができます。
工場現場でROICを活用するためには、難解な財務指標を「現場のアクション」まで噛み砕くROICツリーの構築が必要です。ROICを上げるアプローチは大きく分けて二つあります。ひとつは分子である利益を高めること、もうひとつは分母である投下資本を圧縮することです。
利益を高めるためには、製品ごとの限界利益率を把握し、高付加価値製品へのシフトや歩留まりの改善、製造コストの削減を進めます。一方、投下資本の圧縮においては、リードタイムの短縮による仕掛品や製品在庫の削減、使用頻度の低い設備の集約や売却が具体的な手段となります。
現場の製造担当者や工場長にとって、「ROICを上げろ」という指示だけでは困惑が生じます。しかし、「リードタイムを2日短縮して滞留在庫を減らす」「設備稼働率を向上させて追加投資を抑える」といった具体的行動に翻訳して伝えることで、現場の創意工夫がそのまま企業の資本効率向上へと直結します。
ROIC経営の導入は、単なる財務テクニックではありません。現場と経営陣が同じ物差しを持って対話を行い、真の収益力を高めていくための組織的なプロセスです。自社の稼ぐ力を再定義し、持続的な成長を実現するためにも、工場の日常管理にROICの視点を取り入れてみてはいかがでしょうか。



