【概念思考|組織】
「組織」とは、複数のものを組み合わせて、一つのまとまりをつくること。また、一定の目的を達成するために、それぞれ異なる役割を持つ人や集団によって構成されるものを意味します。
「組」という字は、「糸」と「且」から成り立っています。「且」には重なる、積み重なるという意味があり、糸を何度も交差させながら一本の紐をつくる様子から、「いくつかのものを一つにまとめる」という意味を持つようになりました。
一方の「織」は、「糸」と「戠」から成り立ち、糸を規則正しく組み合わせながら、一枚の布を織り上げていくことを表しています。
この二つの字から考えると、「組織」とは、異なる一本一本の糸を組み合わせ、一定の秩序を持った一つの形をつくることだと捉えることができます。
私は「組織」を概念化すると、
「集団」
「目的」
「新陳代謝」
の三つで捉えています。
人は、一人だけで生きていくことは難しく、家族、地域、会社、社会など、さまざまな「集団」をつくりながら生きています。
これは、人間の根源的な習性の一つではないでしょうか。
しかし、人が集まれば、それだけで組織になるわけではありません。
そこには、共通する「目的」が必要です。
何のために集まっているのか。
何を実現しようとしているのか。
そのために、自分はどのような役割を担うのか。
これらが明確になって初めて、単なる人の集まりが「組織」へと変わります。
そして、目的によって組織の形は大きく変わります。
軍隊のように、一瞬の判断の遅れが大きな損失につながる組織では、強い指揮命令系統が必要になります。
多くの人が同時に動き、限られた時間の中で確実に意思統一するためには、トップダウン型の組織が機能しやすい。
一方、企業では事業内容によって求められる形が異なります。
大量生産を行う組織と、新しい製品を生み出す研究開発組織では、当然ながら必要な仕組みは違います。
前者では、役割や責任、標準化された仕事の流れが重要になります。
後者では、専門性の異なる人たちが自由に意見を出し合う、比較的フラットな関係の方が機能することもあります。
つまり、どの組織形態が正しいということではありません。
「何を実現するための組織なのか」
によって、その形を変える必要があります。
ここで重要になるのが「新陳代謝」です。
人の身体では、古い細胞が新しい細胞へと入れ替わりながら、生命を維持しています。
私は、組織も同じだと思っています。
社会が変わる。
技術が変わる。
顧客が変わる。
働く人の価値観も変わる。
それにもかかわらず、組織だけが何十年も同じ仕組みや考え方で動き続けていれば、いずれ環境とのズレが大きくなります。
過去に成功した組織ほど、この変化が難しくなることもあります。
「あのやり方で成功した」
「昔からこうしてきた」
「この組織ではこれが常識だ」
成功体験そのものが、新しい変化を妨げることがあります。
だからこそ、組織には定期的な新陳代謝が必要です。
新しい人が入る。
新しい考え方を取り入れる。
役割を変える。
不要になった仕事をやめる。
時には組織そのものを組み替える。
変えるべきものを変えながら、守るべき目的は守る。
この柔軟性が、環境変化の中でも生き残り、成長できる組織をつくるのだと思います。
そして、最終的に組織の成否を決めるのは、そこにいる「人」です。
どれほど優れた組織図を描いても、そこにいる人同士の信頼がなければ機能しません。
能力だけでも十分ではありません。
責任を果たす。
他者を尊重する。
約束を守る。
困っている仲間を助ける。
自分の利益だけではなく、組織全体を考える。
こうした人間性や人間力があって、初めて役割同士がつながります。
逆に、一人ひとりが自分の利益だけを追い求めれば、どれほど立派な仕組みがあっても、組織は内側から崩れていきます。
組織とは、人を縛るための箱ではありません。
異なる能力や個性を持つ人たちが、一人では成し遂げられないことを実現するための仕組みです。
一人ひとりは一本の糸であっても、それぞれの強みを生かして組み合わされれば、一枚の大きな布を織り上げることができます。
「集団」が集まり、
共通する「目的」を持ち、
環境に合わせて「新陳代謝」を繰り返す。
そして、その根底には、人と人との信頼と人間力がある。
私は、強い組織とは、単に人数が多い組織でも、規律が厳しい組織でもなく、目的を共有した人たちが、それぞれの役割を果たしながら、環境の変化に応じて自ら変わり続けることのできる組織なのだと思っています。


