【概念思考】万物生々
「ものはこれを愛する人によって生み出され、これを大切にする人のために働き、これを生かす人に集まってくる。すべて生きているからである」
道具を大切に扱えば、それは持ち主のために喜び、期待以上の働きをしてくれます。しかし粗末に扱えば、へそを曲げて反抗し、時には牙を剥くことさえあります。また、正当な報酬を妥協なく要求することは決して恥ずべきことではなく、むしろ生活にはっきりと筋道を立てる神聖な行為です。すべての存在が生きて流動しているからこそ、私たちは万物に対して「生々(せいせい)」と向き合わねばなりません。
「生」という漢字の起源を紐解くと、万物が生き生きと活動するダイナミズムの本質が見えてきます。
漢字の起源からみる「生」
豊かな大地(一)から、みずみずしい若葉や茎(|)が太陽に向かって真っ直ぐに伸び、力強く枝分かれしていく様子。
文字の成り立ちが示す通り、「生」とはただそこに存在する状態ではなく、環境と関わり合いながら次々と変化し、自らの価値を外側へと広げていく、エネルギーに満ちた成長のプロセスそのものなのです。
「万物生々」を捉える私の概念としては、以下の3点です。
生かすこと
大切にすること)
使途
【コラム:お金は生きて流動する――金銭を否定しない覚悟と、自他を高める「使い道」】
万物に対して生々と対峙するとは、すべての物事に対して深い「感謝」を抱き、その価値を極限まで引き出すということです。
身の回りにある道具を大切に扱い、手入れを怠らず、愛着を持って使い続けるとき、道具もまた私たちの想いに応えてくれます。丁寧にメンテナンスされた車が非常時に命を守ってくれる一方で、乱雑に扱われたPCは、皮肉にも最も重要な会議の瞬間に牙を剥くように故障するものです。物質に込められたエネルギーを粗末にすることは、巡り巡って自分自身を窮地に追い込むことに繋がります。
この「生々」の原理が最も顕著に現れるのが、金銭の扱いです。 世の中には、お金を請求したり受け取ったりすることをどこか卑しいことのように捉える風潮がありますが、それは大きな間違いです。いただくべき報酬は、有難く感謝して堂々と受け取る。これによって初めて、自らの生業と生活にはっきりとした筋道が立ちます。
そして、受け取ること以上に重要なのが、その「使途(使い道)」です。 お金はただ貯め込むものではなく、正しく流動させて初めて生きるものです。単に他人の保証人になるような使い方は、相手の自立を阻み、誰も幸せにしない「死に金」の典型です。また、高級店で豪快に奢るような派手な使い方も、本質的には自己顕示欲を満たすための幼稚で自利的な行為にすぎず、結果として自身の評価を落とすことになります。
本当にお金を生かす人とは、自分と相手、そして社会が「共に成長できるもの」へ投資できる人です。 他者のために、そして未来のために、もったいぶらずに生きたお金を使う。その一貫した姿勢こそが周囲からの確固たる信頼を築き、さらなる豊かな万物を自分の元へと引き寄せる磁石となるのです。


