エンジニアから外資系企業のCEOまで。あらゆる階層で製造業の「現実」と向き合って得た知見

「経営陣は現場の苦労を何も分かっていない」
「現場は部分最適ばかりで、会社全体の戦略を理解しようとしない」

製造業の組織において、このような「階層間の断絶」は、いつの時代も、どの国でも繰り返される普遍的な課題です。
私自身、35年にわたるキャリアの中で、総合電機の新米エンジニアから始まり、半導体工場のマネージャー、外資系医療機器・素材メーカーの工場長やCOO、そして感光材メーカーのCEO、さらにはM&Aにおける企業再生の責任者まで、文字通りあらゆる階層を経験してきました。
現場で油にまみれて図面を引く苦労も、中間管理職として上下の板挟みになる葛藤も、そしてCEOとして300人以上の従業員の命運と巨額の予算を背負い、眠れない夜を過ごす孤独も、そのすべてが私の血肉となっています。

この「すべての階層の現実」と向き合ってきたからこそ見えた、日本の製造業が今、未来へ向けて変革するために必要な3つの知見をお伝えします。

■ 知見1:現場の「現実」なき戦略は、ただの空論である
グローバル企業で指揮を執っていた際、徹底した効率化や管理会計、KPIマネジメントの重要性を叩き込まれました。これらは組織を統治する上で不可欠なツールです。
しかし、同時に思い知らされたのは、「現場の現実(現場力)を無視した数字主導の戦略は、必ず失敗する」ということです。
机の上でいくら綺麗な中期経営計画やDXのロードマップを描いても、工場の室温、設備のチョコ停の頻度、そしてオペレーターが抱く作業への不安や悔しさといった「現場のリアル」を掴んでいなければ、指示は現場の行動へと繋がりません。 優れた戦略とは、経営者の「想い」が現場の末端の「行動」へと翻訳され、シンクロしたときに初めて機能するのです。

■ 知見2:外資系の「徹底した合理化」×日本的な「人を大切にする経営」の融合
日本の製造業が再び世界で輝きを取り戻すための条件は、欧米型のドライな成果主義に染まることでも、過去の成功体験にしがみつくことでもありません。
私の強みであり、数々の修羅場で実績を出してきたアプローチは、「外資系の徹底した合理化(シックスシグマやOEE改善)」と「日本的な人を大切にする経営(利他と感謝の精神)」の融合です。
合理化(サイエンス): 感や経験を排除し、設備総合効率(OEE)や安全衛生の指標を徹底的に数値化・データ化する。
人間力(フィロソフィー): 企業の真の目的は利益以上に「縁ある人々を幸せにすること」と定め、1on1での傾聴や武士道的なモラルを大切にする。
仕組み(合理化)で現場のムダや危険を削ぎ落とし、思想(利他)で一人ひとりが誇りを持って自走できる文化を創る。この両輪が揃ったとき、年間11件あった労災が「完全ゼロ」になり、OEEが2.5倍になるといった、劇的なイノベーションが生まれます。

■ 知見3:正解がない時代だからこそ、経営者は「原点」に立ち返る
現代は、明日の市場予測すら困難な不確実性の時代です。 かつてのように「他社の成功事例」を検索して真似をしても、自社の正解は見つかりません。
あらゆる階層を経験した私が、最後に経営者の皆様へお伝えしたいのは、「そもそも、なぜ経営者になったのか?」「自社のあり方はどうあるべきか?」という原点(志)に立ち返ることの大切さです。
未来を予測することはできなくても、エフェクチュエーション(起業家的意思決定)の思想が教えるように、今自分の手の中にある「資源(技術、知識、そして信頼できる仲間)」を数え上げ、利他の精神に根ざした小さな実験を始めることは今すぐにできます。経営者のブレない軸と覚悟こそが、激動の時代に組織を導く唯一の羅針盤となります。

■ 製造業経営者様への特別招待
私は現在、これまでの35年におよぶ現場経験とCEOとしての知見を次世代の志へ繋ぐべく、茨城県を中心に「製造業リーダーズネットワーク」の運営や、中小企業庁・生産性向上センターのサポーターとして経営支援を行っています。
その一環として、製造業の経営者様限定で、製造業の「今」と「未来」を本音で語り合う「100社対話インタビュー」を無償で実施しています。
経営人生で一番嬉しかったこと、悔しかったこと
なぜ辞めずに頑張っているのか、何を社会に返せるか
グローバル市場やこれからの人材育成に対する本音の課題
綺麗事ではない、現場を知る者同士だからこそできる「本音の対話」から、次の打ち手を見つけてみませんか?
ご興味をお持ちいただけた経営者様は、ぜひDMまたはコメントにてお気軽にご連絡ください。まずはざっくばらんな対話から始めましょう。

(Virtue & Intellect 代表 / 製造業リーダーズネットワーク 代表 鈴木 美徳)